手塚治虫の傑作作品 MW(ムウ)の結末【ネタバレ感想】

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MWと書いて”ムウ”と読む手塚治虫の漫画の中でも非常に特異な作品がある。

この漫画のタイトルであるMWとは強力な科学兵器の事を指しており、主人公である結城美知夫にはこの兵器を使って大量殺人を目論むのだが、話はそう簡単ではない。

この作品においてテーマとなっているのは、同性愛や猟奇犯罪といったおおよそ手塚治虫のイメージからはかけ離れたところにあるからだ。

人間の底に眠る攻撃性や狂気を描いたMWを書いた手塚治虫の心境とは一体どうだったのだろうと、読んだ後に考えさせられてしまう。

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MW(ムウ)のあらすじ

普段はエリート銀行員である1人の男 結城美知夫

この男には同性愛者というもう1つの顔と異常なまでの殺人衝動を持つという裏側がある。

この主人公である結城美知夫が作品内で起こす事件は実に16件にも及び、その殆どが殺人や破壊を目論むといったものだ。

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実は幼少期にこの結城美知夫もMWの被害を受けており、そのせいで脳の正常な判断が出来ない…といった設定ではあるものの、この物語で結城美知夫が行う行動を見る限り、脳機能が低下している描写は全く見られない。

むしろ、犯罪者としては非常に冴え渡ってしまっている節がある。

MWという兵器によって狂わされた人生を復讐に捧げ、手塚治虫の作品では最高に冷徹な犯罪者の1人が結城である。

時折MWによる後遺症によって発作を起こしながらも次々と犯罪を重ねていく結城美知夫。

老若男女を問わずに殺人を繰り返す結城だが、彼には唯一心を許せる人間がいる。

それが幼い頃から関係を持っている賀来神父という1人のクリスチャンだ。

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物語を通してこの神父は結城の更正をさせる為に奔走するのだが、前述した同性愛、つまり凶悪犯罪者である結城と逢瀬を重ねているのもまたこの神父である。

神父は結城と会う度にその誘惑に溺れ、更にはその犯罪行為を隠匿したりもする。

その罪の意識に苛まれながらも、結局は結城という男に流されてしまう。

最終的に結城はMWを奪取して人類そのものを抹殺する計画を立てるのだが、あろうことか賀来神父はこの最終的な凶悪犯罪の手助けをしてしまうのだ。

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MW(ムウ)の結末

最悪の化学兵器であるMWの在り処を突き止めた結城と賀来神父はMWの関係者である外国人を人質にして飛行機をハイジャックする。

この時にようやく賀来神父は結城を更正させる最後のチャンスだとしてMWの入った袋ごと海に身を投げて自殺を図る。それが結城の目的を阻止する最後の手段だと判断したからだ。

そして物語の途中から登場する結城の兄弟も出てくる。歌舞伎俳優の河本という男だ。

結城を追っていた検事から以来を受けた河本は最後の飛行機に潜入するのだが…

神父がMWの袋と共に海に身を投げた後、結城は人質にしていた人物に射殺される。

そして事件はなんとか解決し、検事と共に警察署から出てくる河本。

この河本が最後に「ニヤッ」と不気味な笑顔を遺してこの物語は終わりを迎える。

直前に登場人物の女性の1人が河本を結城と見間違えるという簡単な伏線がある事から推測出来るのは

結城美知夫は死ななかったという結末である。

MWで手塚治虫が表現したかった事とは?

これは個人的な意見であるものの、この作品のタイトルは殺人者結城でもなく、苦悩に満ちた神父でもなくMWという恐ろしい化学兵器だという事だ。

結城という男はこのMWによって人生を狂わされ、その復讐に生涯を捧げる。同じく運命を狂わされた賀来神父はそれを止めようと人生を捧げる。

これは1つの存在(この作品の場合はMW)に対して人間が2つの側面を持つという極端な例をこういった表現(狂気の殺人者と神に仕える神父)で表したのではないだろうかと思う。

手塚治虫の作品の中でも特に過激だと言われるMW(ムウ)

興味のある人には是非とも1度読んで貰いたい。

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